“上を向きたがらない”のは“首の問題”ではなく“平衡感覚の不安”が隠れているかも
2025.01.31

“上を向きたがらない”のはなぜ?
〜“首の問題”ではなく“平衡感覚の不安”が隠れているかも〜
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◆「見上げてください」が苦手になった?
・天井の掃除を頼んでも見上げようとしない
・空や上の棚を指差しても視線がそこに向かない
・写真撮影でも“あごを引く”のはできるのに、“上を向く”のは極端に避ける
──そんなとき、
「首が痛いのかな?」「可動域が狭くなってるのかも」と思いがちですが、
実は“平衡感覚の不安”が隠れていることがあります。
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◆上を向くと“体の軸”が一瞬わからなくなる
私たちは日常的に、
・視覚
・前庭感覚(耳の奥でバランスを取る)
・深部感覚(足裏や関節の位置感覚)
──これらを使ってバランスを保っています。
ですが、上を向いた瞬間、
・視野がぐらつく
・足元が見えなくなる
・重心が後ろにズレる
といった“バランスの混乱”が起きやすくなるのです。
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◆本人の中では「怖い」だけど言語化できない
・ふらっとする気がする
・首を動かすとめまいが起きそう
・なんとなく不安
──でも、これらをうまく言葉にできないために、
“上を向く”こと自体を避けるようになることがあります。
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◆支援者ができること
・急に上を向かせるのではなく、“視線だけ→頭→体”の順で誘導する
・不安がありそうなときは“座ったまま”で動作を練習する
・「少し上を見ましょう」ではなく、「ちょっとだけ天井を一緒に見てみましょう」と具体的に伝える
・“動かす目的”を伝えて、「なんのために見るのか」が明確になると安心感が増す
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◆まとめ
・“上を向きたがらない”のは、首だけの問題ではなく“バランス感覚”の変化かもしれない
・視野の変化・足元の不安・身体の軸のずれなどが不快感につながる
・丁寧な声かけと安心できる誘導で“見上げる動作”を少しずつ取り戻していける
見上げる一瞬の“ためらい”に、体のセンサーが発するSOSが隠れているかもしれません。