“歩行器=重症”は誤解です。自立支援につながる使い方とは?
2025.05.23

「“歩行器=重症”は誤解です」
〜自立支援につながる歩行器の正しい使い方〜
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◆「歩行器を使うって…そんなに悪いことですか?」
「もう歩行器なんて、年寄りくさい…」
「歩行器に頼ったら、もう終わりなんじゃないか…」
そんな言葉を、現場でもよく耳にします。
ですが、私たちリハビリ職の立場から断言します。
> 歩行器は“弱くなった人の道具”ではありません。
> “行動範囲を広げるための支援ツール”なのです。
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◆歩行器を使うと「もっと動ける」ようになる?
歩行器を使うと、以下のような変化が起こります:
✅【1】転倒リスクが減り、“安心して動ける”
→ 不安が減ることで、「歩いてみようかな」と思える場面が増えます。
✅【2】身体にかかる負担を分散できる
→ ふらつきや膝・股関節の痛みを軽減し、長く歩けるようになります。
✅【3】“歩かない時間”が減ることで、体力維持につながる
→ 結果的に「筋力の維持・回復」にもプラスになります。
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🧠 つまり「歩行器=依存」ではなく「歩行器=自立支援」!
歩行器は“弱さを補う”だけでなく、“活動量を増やす”ための道具です。
私たちリハビリ職は、「どんな人に、どのタイミングで、どんな歩行器を使うといいのか」を専門的に見極めています。
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◆こんなときは、歩行器の導入を考えてみましょう
室内でつまづくことが増えてきた方
→ 安定した歩行姿勢を保ちやすくなり、転倒予防につながります。
歩くとすぐに疲れてしまう方
→ 両腕で体重を支えられるので、長く歩けるようになります。
急に膝がガクッと抜けてしまう方
→ 前方に支えがあることで、転倒のリスクを大幅に減らせます。
杖ではまだ不安定だと感じる方
→ 接地面が広い歩行器なら、より安心して歩行できます。
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◆歩行器選びで大切な3つのポイント
1. キャスターの数
→ 自走式か固定式か。歩く速度やバランスに応じて選びましょう。
2. ブレーキの有無
→ 急な坂道や屋外での使用には“ブレーキ付き”がおすすめです。
3. 高さと姿勢の調整
→ 高さが合っていないと腰や肩に負担がかかります。専門職による調整がとても重要です。
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🛠 リハビリ現場での声
>「歩行器を使い始めてから、“またトイレに1人で行けるようになった”と笑顔が増えました。」
(70代・男性 利用者のご家族)
>「以前は椅子から立つだけで一苦労だったけど、今は歩行器で廊下を何往復もしています」
(80代・女性)
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◆まとめ
「歩行器を使ったら負け」ではありません。
> “歩けるようになるために使う”のが、歩行器です。
むしろ無理に我慢して転倒してしまう方が、よほど怖い結果につながります。
自立支援の第一歩として、「正しく歩行器を使う」選択肢を、ぜひご家族や現場で検討してみてください。
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