“うろうろ歩く”のは“目的がない”のではなく“探している安心”があるから
2025.04.04

“うろうろ歩く”のは“目的がない”のではない
〜“探している安心”があるから〜
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◆「なんでこんなに歩き回るんだろう?」
・部屋を行ったり来たりしている
・何も言わずに家の中をうろうろ
・廊下を歩き続けて落ち着かない様子
──そんな姿を見ると、「落ち着きがない」「目的がない」と思われがちです。
でも、実は“本人なりに何かを探している”のかもしれません。
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◆“探している”のは「安心できる状態」
高齢になると、
・自分がどこにいるのか
・いま何をしていたのか
・この場所が安全なのか
といった状況の把握や記憶のつながりが不安定になることがあります。
その結果、「何か忘れている気がする」「落ち着かない」「確認したい」
という“感覚的な不安”を埋めるために、体が自然と動いているのです。
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◆“歩くこと”で安心を取り戻そうとしている
歩き回る行動は、
・空間を見て、触れて、確認する
・身体を動かすことで気持ちを落ち着ける
・周囲の反応を見ながら“今の自分の位置”を再確認する
という「身体的な探索行動」の一部です。
目的が明確でなくても、“心を落ち着かせようとする手段”になっているのです。
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◆やめさせるより“環境で見守る”
・危なくないように家具の配置を整える
・歩いた先に座れる場所をつくっておく
・歩く動線に“ホッとする物(写真・植物など)”を置く
・「どこ行くの?」ではなく「疲れたらここに座ってね」と声をかける
“行動の意味”を理解して見守ることで、本人の不安がやわらぎます。
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◆まとめ
・“うろうろ歩く”のは、目的がないのではなく“安心を探している”サイン
・環境や記憶の不安定さが、“体を動かして補う”行動につながる
・やめさせるより、“見守りと安心感”で包む対応を
落ち着かない足取りの奥に、心の揺れがある。
その行動の“理由なき理由”に、そっと寄り添ってみませんか?