“ドアを開けたままにする”のは“空間感覚”の変化かも?
2025.04.11

“ドアを開けたままにする”のはなぜ?
〜“空間感覚”の変化かもしれません〜
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◆「ドア閉めてね」が伝わらない?
・トイレやお風呂のドアを開けたままにする
・部屋を出ても引き戸を閉めずに行ってしまう
・冷蔵庫や棚の扉を半開きにしたまま忘れてしまう
──そんな行動に、「わざと?」「忘れてるだけ?」と戸惑ったことはありませんか?
それ、実は“空間感覚”や“認識力”の変化が原因かもしれません。
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◆“ドア”は「空間の区切り」という高度な認識
私たちはふだん無意識に
「ここからは別の部屋」「外と中が切り替わる」
といった空間認識をしています。
しかし加齢や認知機能の変化により、
・空間の“境界”を感じにくくなる
・「閉める」という行動の意味づけがぼやけてくる
・「閉める」必要性そのものを忘れてしまう
こうした空間と目的のズレが、“開けっ放し”につながっているのです。
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◆「閉める」動作は意外と難しい?
ドアを閉めるには、
1. 閉める必要があることに気づく
2. それを覚えておく
3. 手を伸ばす・引くなどの動作を実行する
4. 音や感触で“閉まった”と確認する
──実はこれだけの判断・記憶・動作が必要なのです。
つまり、“閉め忘れ”は“手順を完了できなかった”サインとも言えます。
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◆叱るより、“行動の設計”を変える
・ドアに目立つ色の目印をつける
・「閉めてください」より「開けたら閉めようね」と一緒に確認する
・自動で閉まる簡易装置を使う
・開けっ放しになっても支障が少ないように環境を整える
“できる方法に変える”支援が、本人のストレスを減らし、家族の負担も軽減します。
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◆まとめ
・“ドアを開けたまま”は怠慢や忘れではなく、“空間感覚”の変化かもしれない
・閉めるという動作には、判断・記憶・目的理解が必要
・“気づけない変化”には、叱るより“環境で補う”工夫を
何気ない開けっ放しに、“脳のサイン”が隠れている。
気づいてあげることが、やさしい支援の第一歩です。