“良い姿勢”は間違ってる!?〜理学療法士が教える本当に楽な座り方〜
2025.05.09

「良い姿勢=背筋ピーン」は正解?
〜理学療法士が教える、本当に体に優しい座り方〜
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◆「ピシッと座りなさい!」が体を壊す?
「背筋を伸ばして、ピシッと座りなさい!」
そう教えられてきた私たちですが、理学療法士の視点では、
その“良い姿勢”が実は体に負担をかけていることも少なくありません。
人の体は、背筋をずっと伸ばして座る構造にはなっていないのです。
無理な姿勢は、腹筋や背筋に緊張を生み、肩こりや腰痛の原因にもなります。
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◆「仙骨座り」でも「だらしない姿勢」でもない、“ニュートラル”が鍵
体にとって無理がない“自然体の座り方”のポイントは次の3つです:
【1】骨盤を立てる(=深く座る)
椅子の奥までしっかり座り、骨盤がまっすぐ立つように意識。
【2】背もたれに軽くもたれる
背中全体を背もたれにあずけて、体重を分散。
【3】腕・足を安定させる
手は太ももか肘掛けに、足裏はしっかり床につける。
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◆圧力分布から見る「疲れない姿勢」
リハビリの現場では、座ったときのお尻の圧力分布を測ることがあります。
背筋を無理に伸ばした姿勢では坐骨に圧が集中し、痛みの原因になります。
一方、骨盤が安定した“ニュートラル姿勢”では、圧が広く分散されて疲れにくくなります。
頑張っていない座り方こそ、身体にとっての正解です。
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◆なぜ“良い姿勢神話”が根強いのか?
その背景には、心理学的な「印象評価」が関係しています:
・真面目に見える
・礼儀正しく見える
・サボっていないように見える
私たち医療・リハビリ職は、「見た目」より「身体にとって無理がないか」を重視します。
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◆家族・介護職の方へ:支援のポイント
・座位姿勢が崩れやすい高齢者には、クッションやタオルで腰をサポート
・肘掛け付きの椅子を選ぶことで、安全性と安定感が向上
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◆まとめ
「良い姿勢=楽な姿勢」ではありません。
「疲れない姿勢=身体が自然にとれる姿勢」こそが、本当の意味での“良い姿勢”です。
毎日繰り返す“座る”という動作。
今日から少し意識を変えるだけで、腰痛や肩こりの予防につながります。
理学療法士がすすめる“楽で自然な座り方”、ぜひ取り入れてみてください。